遺言書作成時の注意点!遺留分について知っておこう!

相続・生前対策

さて、今回のお話は!
「遺言書さえ作成しておけば安心、問題は何も起きないだろう」そのように考えてる方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、そうは問屋が卸さない。遺言書の作成にもいくつか注意点があり、遺言書通りに執行されないこともあります。その中でも最も注意するべき点「遺留分」について解説したいと思います。

遺留分とは

遺留分とは一言でいうと、遺族に留めておく分、ということです。つまり遺言書があっても、法定相続人には最低限相続できる権利が法律で定められているのです。例えば、子どもがは一切面倒を見てくれなかったので、お世話になった親友に全財産を遺贈したい、というように遺言をしても自分の子が権利を主張すれば、子どもには遺留分を取得する権利が保障されるのです。これは遺族の最低限の生活保障のために民法で定められているのです。

では、この遺留分について詳しく見ていきましょう。
まず遺留分はだれがもらえるのか。遺留分を貰えるのは亡くなった人の法定相続人(配偶者・子ども・両親)だけです。ただ、兄弟姉妹には遺留分はありません
次に、遺留分の割合ですが、財産の2分の1を遺留分権利者で法定相続分通り算出した額(父母のみの場合は3分の1)になります。
わかりにくいですね!簡単にまとめると次のパターンに分けられます。

  • 配偶者のみ 1/2
  • 子どものみ 1/2
  • 父母のみ  1/3
  • 配偶者と子ども   配偶者1/4 子ども 1/4
  • 配偶者と父母    配偶者1/3 父母  1/6
  • 配偶者と兄弟姉妹  配偶者1/2 兄弟姉妹 無し

上記の者は侵害者に対して上記の割合だけ「遺留分侵害額の請求」をすることができます。遺留分を侵害された者が遺留分侵害額請求を行うと、侵害者は遺留分を金銭で相続人に支払わなければなりません。
ですので、遺留分を侵害する遺言を残した場合、遺留分をめぐり受遺者(遺産を受け取る人)と相続人が争う、受遺者が遺留分を金銭では支払えない、などの理由でトラブルに発展したり受遺者が遺言を拒否するという皮肉な結果になる可能性が十分に考えられます。
では、遺留分侵害額請求は必ず有効なのか。
特定のケースではこの遺留分の分与を回避することができます。
ではその方法を見ていきましょう。

遺留分を渡さない3つの方法

遺言書の付言事項に記載しておく

簡単に言うと「遺留分侵害額の請求をしないでください」と遺言書に残すことです。
遺言書は、お金や財産の分け方を示す「法定遺言事項」と遺言者の気持ちを書く部分である「付言事項」の2部で構成されます。遺言というと法定遺言事項のほうを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
実際、付言事項には法的効力はありませんので、相続人の遺留分を奪うことはできません。
気持ちに訴えても相続人が納得しない場合は遺留分を支払わなければなりません。

遺留分を事前に放棄してもらう

自分が生きている間に相続人にあたる方に遺留分を放棄してもらうことが可能です。
相続開始前に被相続人の住所地の家庭裁判所に相続人にあたる方が「遺留分放棄の許可申立て」を申請することで遺留分を主張できなくなります。
これも相続人の意思によるため、遺留分を受け取りたいと思っている法定相続人の場合は難しくなります。

相続人の廃除

これは相続人となる子どもから暴力を受けた、お金を勝手に使い込まれたなどの場合に家庭裁判所に申し立て相続権を剥奪することです。
やり方は被相続人が生存中に手続きをする「生前廃除」と被相続人の死後に手続きするように遺言に残しておく「遺言廃除」の2パターンあります。
これも裁判所の審判により決定される必要があるため確実ではありません。実際、相続廃除が認められる確率は低いです。
ちなみに廃除された相続人に子どもがいる場合はその子どもが相続権を取得することになります。

まとめ

ここまで見てきたように、遺留分の分与を回避する確実な方法も制度も今のところありません。
せっかく自分の希望を綴った遺言が逆に争いの種になってしまうのは本末転倒ですよね。ましてや自分がいなくなった後のことなのでその結果も知る余地がありません。
そうならないためにも自分が生きている間に、遺したものが自分の希望通りいくように準備しておく、今回お話した遺留分やその他法律にも引っ掛からない配慮のある遺言書を作成する、といったことはとても大切になってきます。
重要なことだからこそ少しでも心配な場合は専門家に相談するとよいでしょう。

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